特に龍平に対しては、怖くて堪らない。
「何だよ、やっぱり俺が必要なのか?」とか言って、私に男前ぶった笑顔でも見せてくれたら……冗談のひとつでも返せるのに。
だけど、真顔で近付いて来た龍平は……私と目も合わさずに、肩をかすめるようにして教室から出て行ったのだ。
何かが……胸に込み上げてくる。
私が悪いんだから仕方ないけど……やっぱり辛い。
それでも、涙が出そうになるのをグッと堪えて、私は教室を出た。
美紗の家に向かうために学校を出て、四人で道を歩く。
龍平は私達より少し前にいて、話そうとしない。
「どうしたんだ? 龍平のやつ。ずっとあの調子だぞ」
健司が不思議そうに尋ねるけど、私と美雪は誤魔化すだけ。
私が原因とは言え、こんな事を健司には言えないから。
「な、何だろうね。やっぱり武司さんに勝てない事が悔しいんじゃないの?」
ナイス! ナイスだよ美雪!
そういう事にしておけば、健司も納得するはずだよね。
「そうか? 留美子を追いかけて行った後からおかしくなった気がするぞ? お前、何か言っただろ?」
何でこんな時だけ鋭いんだよ……。
普段は人の事なんてどうでも良いみたいな顔してるのに。