その足音に恐怖した私は、残された龍平の手を握りしめた。
血に濡れて、ぬるぬるしているけど……不思議と安心する。
日中、武司さんに殺された時に似ているけど、ひとつだけ違う事がある。
今にも死んでしまいそうな龍平が、私の手を握り返してくれているから。
「こんな事……してる暇があるならよ……逃げ……ろよな」
そう言っていても、手を振りほどこうともせずに、私の手をなでるように握り続けている。
今日のカラダ探しが始まって、ずっとつないでいた龍平の手。
どうせ逃げられないなら、終わる時も手をつないだままで。
なんて、らしくない事を考えながら、私は手をつないだまま、龍平を抱きしめた。
意味がない事かもしれないけど、守ってくれた龍平を、今度は私が守りたいから。
龍平の髪の毛に頬を寄せて、安心して目を閉じた私は……。
背後から、赤い人に首をもぎ取られて死んだ。