「こんの……化け物っ!!」
その声と共に、ドンッ!と壁を揺らすような音と振動が私にも伝わった。
階段を下りながら、龍平が死なないようにと祈り続けて、転がるようにたどり着いた踊り場。
生徒玄関の方に見えた眩しい光が、あゆみが頭部を回収したという事を教えてくれた。
「良かった……間に合ったんだ」
と、私が安心した時にそれは起こった。
一階と二階の間にある踊り場。
その壁に何かがぶつかって、私の横に落ちて来たのだ。
「ひゃっ!」
思わず悲鳴を上げた私が見た物は……腕と脚を失って、顔も血まみれの龍平だった。
苦しそうに肩で息をして、目も虚ろだ。
「龍平……ご、ごめんね」
逃げろって言ってくれたのに、私はまだこんな所にいるのだから。
「何……がだよ……」
息も絶え絶えに、私を見て笑って見せる龍平。
「だって、逃げろって言ってくれたのに……」
赤い人の足音が聞こえる。
私達が逃げられないと思ったのだろう。
ペタペタと、階段を下りて来るのが分かる。