私の背後で、龍平はどうなったんだろう。


腕が一本なくなったんだから、殺されたのかな。


どうしても、死という言葉が頭からはなれない。


だけど……背後から聞こえた声に、私は目を見開いた。


「るびごっ!! 逃げろってぇ!!」


腕を失った痛みで、歯を食いしばって叫んだのだろう。


まだ龍平は生きていて、私を逃がすまで、頑張るつもりなのだ。


何を私は諦めてたんだろう。


腰が抜けて動けないなら、這ってでも逃げれば良いじゃない。


手が離れた事で、寂しさを感じていたのかな。


うん、私らしくない。


大人しく殺されるより、最後まで悪あがきして生き延びる方が、ずっと私らしいよね。


そう考え直して、私は階段の方に手を伸ばした。


脚が動かなくて、素早く移動なんてできない。


醜く這って、一階に向かう階段に手をかけた。


もしも龍平が殺されて、私を追って来てもかまわない。


どうせ死ぬ事を覚悟したし、今さら殺されたって、遅いか早いかの違いでしかないのだから。