背中をバンッと叩かれ、我に返った私は、動かない脚を無理矢理に前に出して、階段を下りた。
目の前では、龍平が赤い人と戦っている。
一発でも攻撃を受けてしまえば、それで終わりだと言うのに……。
赤い人につかまれないように、龍平はうまく距離を保っている。
大丈夫、龍平が頑張ってくれるから……私達は生徒玄関にたどり着ける。
そう信じて二階を通り過ぎ、一階に向かおうとした時だった。
背後から、グチャッという音と、小さな悲鳴が聞こえたのは。
次の瞬間、私の前に飛んで来る棒状の塊。
それが龍平の腕だと分かった時、私は腰を抜かしてその場に座り込んでしまった。
「留美子! は、早く!」
私の肩を揺すって、なんとか歩かせようとする美雪。
ダメだ……普段なら、悲鳴を上げてでも逃げるけど、今日は何か違う。
ずっと手をつないでいて、一緒にいた龍平の腕が目の前にある事がショックで……。
「さ、先に行って。腰が抜けて……」
言うより早く、私を避けるようにして一階に向かう美雪とあゆみ。