赤い人は生産棟の二階に現れた。
今から屋上に行こうとしている私達にとって、その位置は正直、微妙なんだけど。
それでも、3人もカラダを集めた人がいるから、危なくなったらあゆみだけでも行かせれば良い。
そう考えて、私達は教室を出た。
階段を上がり、西棟の二階。
赤い人は生産棟の奥にいるのだろう。
あの歌はまだ聞こえて来ない。
龍平が無言で指差した三階へと続く階段を上り、さらに屋上へと向かった。
最上階。屋上のドアを開け、外に出た私達は、胸を締め付けるような異様な空気から解放されて、安堵の吐息を漏らす。
「ふぅ……外に出ると、なんか安心するよね。ずっと息が詰まる感じだったし」
「そういえば初めてかも。夜の校舎に入った後に、生きて外に出るのは」
私も美雪も、大きくのびをして、わずかな解放感を味わう。
「留美子、気になる場所はどこなんだ? 何かが動いた場所ってのは」
もう、少しくらいこの新鮮な空気を満喫させてくれても良いじゃないのよ。
まあ、早くカラダを見つけたいって気持ちは分からなくもないけどね。
「えっとね、体育館から見えたから……あっちかな?」
そう言って私は、屋上の南側を指差した。