何も動かないはずの風景の中に、何かが動いたような気がしたけど。
それは屋上で見たような気がする。
「……屋上じゃないかな? 誰か調べた人いる?」
西棟側は、最初は私と美雪とあゆみの3人で調べる予定だったけど、私は調べてない。
皆の顔を見回しても、首を横に振るだけで。
「ホールと屋上だね。だったら、屋上から調べようか。手分けしてもあゆみはひとりしかいないし、見つけても回収できないでしょ?」
私は美雪の提案に異論はない。
あゆみも龍平も、それで良いと言い、私達の目的は決まった。
次の校内放送が流れたら、この教室を出るという事で、しばらく待機。
暗闇の中、皆で待っていると……私達に携帯電話の光を向けた美雪が、アレに気付いてしまったのだ。
「ところでさ、ふたりはどうしてずっと手をつないでるの? 階段でもつないでたけど……」
私と龍平の関係を知っている美雪にしてみれば、不可解極まりない光景なんだろう。
気付かれて、慌てて手を放そうとしたけど……龍平は、ふたりを前にしても放そうとはしなかった。