「工業棟でしょ? 生産棟も、東棟も西棟ももう調べたし、体育館、大職員室と図書室は終わってる。生徒玄関は調べたんだよね? だったら……玄関前のホールは?」
朝に屋上で言っていた事を思い出しているのだろう。
美雪がうなりながら、少しずつ言葉に出していく。
「ホールか。健司が調べてないならまだだよな。仮にそこにひとつあったとするだろ? 他にも後ひとつ、どこかにあるはずだ」
そのどこかってのが厄介なんだよね。
「美雪と美紗で、何か話はしなかったの? 私が行った後にさ」
こんな時に美紗がいてくれたら、スパッと答えを出してくれそうなのに。
その美紗も、今はどこにいるのやら。
「記憶の断片の話だよ。夢の中で、誰が何を言っていたとか、そういう話。小野山さんも相当追いつめられてるみたい」
「私達がカラダを探すより大変そうだもんね。屋上でそんな話をしてたんだ……」
と、そこまで言って、私はある事を思い出した。
うん?
屋上?
思い返してみれば……体育館で西棟を見た時の違和感は何だったんだろう。