……あ、だとすると。


携帯電話を向けて、あゆみの顔を見てみると相変わらず怯えたような表情で。


まともにカラダ探しなんてできていないんだろうなというのが、それから読み取れた。


そんなあゆみに声をかけたのは龍平。


カラダ探しが始まる前なら、真っ先に駆け寄って、空気の読めないセリフで口説こうとしている所だけど。


「心配すんなあゆみ。俺がカラダを見つけて、武司さんもぶっ飛ばしてやる。だから気にすんな」


私の手を引いて、あゆみに近付いた龍平は、その肩に手を置いて優しく呟いた。


またバカな事を言うかと思ったのに……なんかカッコ良いじゃない。


そんな風に思う私も、普段なら「あー、臭い臭い」とか言ってるんだろうけど、今は言えない。


龍平が、冗談ではなく本気でそう言っている事は、今日の行動から分かっていたから。


ふたりが一階に向かうのを確認して、私達は廊下に出た。


東棟と西棟をつなぐ渡り廊下。


ここを通って、私が一番最初に見つけた、龍平の右腕を回収しに行く。