体育館に入って行った?
昨日みたいに遊ぶために行ったのかな。
だとすると、あそこは音が反響するから、少しくらい音を立てても平気かも。
私の口をふさぐ龍平の手をつついて、それを剥がした。
「体育館で遊んでるみたいだから、今なら調べられるんじゃないの?」
小さく、ささやいた私の言葉に「そうだな」と返事をする龍平。
ゆっくりと立ち上がった私の後に、それでも手をつないだまま立ち上がる。
こんな時くらい放せば良いのに。
どうしてこんなに意地になって手をつなごうとするのか、まったく分からないよ。
いくら私の手を握り返せなかったからって、今はもう良いでしょ。
「あの仕切りの奥に行くぞ。赤い人が体育館にいるからって、あまり音は立てたくないからな」
龍平にそう言われて、慌ててポケットから携帯電話を取り出して、そこに照明を向けた。
職員室と区切られるように設置されたそのスペースは、生徒からの相談を受ける場所。
ソファとテーブルが置かれていて、居心地は悪くなさそう。
赤い人が来ないうちにと移動したそこには……パッと見、カラダなんてないけど。