ここは、進路指導室と兼用の職員室で、二学期が始まると三年生が押し寄せる部屋。
高広さんも、進路が決まらないって何度も来てたっけ。
グルリと教室を見回してみるけど、それらしいモノはなくて。
先生の机の方に歩を進めた。
「進路かぁ。カラダ探しをしてなかったら、私は何をしてたんだろ。龍平はどう思う?」
「留美子か? んー……なんか、卒業前にどこかのバカに妊娠させられて、卒業と同時に結婚しそうだよな」
はぁ!? んなわけないでしょ!
てか、こいつは私をそんな風に見てたわけ!?
確かに意味のない質問だったかもしれないけどさ、そんな適当な返事をしなくても良くない?
「あんた、真面目に答えてないでしょ。誰が私を妊娠させるってのよ」
ありえない話に、首を横に振りながら、鼻で笑っていた時……あの声が聞こえた。
『赤い人が、生徒玄関に現れました。皆さん気を付けてください』
生徒玄関って、ここからかなり近いじゃない。