「そんなの、俺なんて後ひとつだっての。どこにあるんだよ、俺の右腕は」
うん?
龍平の……右腕!?
あれ? おかしいな。
私、言ってなかったっけ?
皆と話をした時に、とっくに言ってると思ってたけど。
「あ、あのさ……龍平の右腕なら私、知ってるよ? でも、どこにあるか言ったよね?」
「は? いやいや、俺は聞いてねぇぞ?」
絶対言ったよ! 自信はないけどたぶん言った!……はず。
「だ、だってさ、私が一番最初に見つけたのがあんたの右腕で……西棟二階の、一番奥の部屋にあったって……」
「……聞いてねぇ」
「……ご、ごめん。すぐに取りに行く?」
私がそう尋ねても、龍平は回収しに行こうとはせずに、目の前の職員室のドアを開けた。
どうしたんだろう。
自分の最後のカラダの場所が分かったら、何を後回しにしてでも回収しに行くのに。
龍平は違うのかな。
「俺のカラダがどこにあるか分かったなら、今はあゆみと美雪のカラダを探さねぇとな」
そう言って、私の手を握る。
それを感じ取り、私は室内に携帯電話を向けた。