「留美子、お前はバカか。殺されたら死ぬに決まってんだろ。試しに龍平を殺してやろうか?」


「マジ勘弁っス!」


うー……やっぱりそうだよね。


結子さんも、難しい顔で考え込んでるし。


「ごめんねぇ。殺された人に会った事なんてないからぁ、それは分からないよぉ」


うん、そりゃそうだ。


私だって3年前に死んだおじいちゃんに会った事はないし、聞いた私がバカだった。


「何だ、誰か殺されたのか?」


「え? あ、ううん。ただ気になっただけ。心配しないで、お兄ちゃん」


その言葉に、私は首を傾げた。


どうしてあゆみは本当の事を言わないのだろうと。


テーブルの上に置かれていた食べ物がなくなり、武司さんに連れられてあゆみは帰って行った。


私と龍平が残されたけど、家の方向が違うから一緒に帰る事もなく、トボトボと家に向かって歩いていた。


辺りはすっかり暗くなっていて、民家の陰から今にも赤い人が飛び出して来そう。


「武司さんもついでに乗せてくれれば良いのに……乗りたかったな、車」


ひとりで道を歩いているっていう状況が寂しすぎて、龍平でも良いから話し相手になってくれないかなと、都合の良い事を考えていた。