「ねぇ、いつまで手をつないでるつもり? 私、手汗かくよ?」
「んなこと言ってねぇで、さっさと探せよ。健司は俺にもカラダの場所を教えてくれなかったんだからよ」
はいはい、健司が調べたと思われる部屋を、全部調べなきゃならないって事でしょ。
それにしても、手をつないだままだと調べにくいっての。
それが分かってて手を放さないつもりなのかね。
「早く調べたいのに、手をつないでたら遅くなるっしょ?」
「良いんだよ。ほら、そこの棚を照らしてくれよ」
つないだ手で示されて、仕方なく携帯電話の明かりをそこに向ける。
そんなつもりはないのに、どうして私はこんな事してるんだろ。
これじゃあ、どこにいてもイチャイチャするカップルみたいじゃない。
一番嫌いなタイプなのにさ。
私が携帯電話で照らして、龍平が調べる。
くだらないと思いながら、この部屋を調べ終わり、私達は廊下に出た。
次は職員玄関だけど……ここは明らかにカラダが隠されている所はない。
傘立てを照らし、何もない事を確認して、私達は事務室の中に入った。
そこで流れる最初の校内放送。
『赤い人が、生産棟二階に現れました。皆さん気を付けてください』