健司は校舎を指差して、何やらブツブツと呟いている。


朝に私達が教えたカラダの場所を、思い出してるのかな。


まあ、健司なんてどうでも良いんだよ。
問題は……龍平とあゆみ。


武司さんと再戦して、勝つどころかボッコボコにやられて、あゆみを助け出せずに殺された……んだと思う。


悔しそうに地面を殴り付けて、うつむいたまま話そうともしない。


あゆみもまた、武司さんが私達を殺したんだと知っているのだろう。


ガクガクと震えて、視線が宙をさまよっていた。


「ねぇ、あゆみ。大丈夫?」


私が声をかけて、ビクッと身体を震わせる。


「あ……あの……ごめんなさい。私のお兄ちゃんが……」


声を出すと同時に、涙も溢して。


そりゃ、自分のお兄ちゃんが友達を殺してたら、申し訳なく思うのも分かるけどね。


だけど、私達はカラダ探しをしているわけで、どうせ夜9時には赤い人に殺されるわけだし。


「あゆみが悪いわけじゃないんだからさ、気にしなくて良いんだって。あんたも武司さんに監禁されてるんでしょ?」


「う、うん……だけど……」