「くっ! 余計な事を……」
「あ? 何か言ったか? 龍平」
心の声が漏れてる漏れてる!
いくら龍平に腹が立っていても、武司さんにボコボコにされたら、さすがにかわいそうだと思うよ、私だって。
「それでぇ? 私に聞きたい事ってなぁにぃ?」
トリプルチーズバーガーを、ものすごい勢いで食べ尽くした結子さんが、あゆみに視線を向ける。
そう言えばこの人は、痩せてるのに大食いだった。
変なところに感心しながら、私はあゆみが説明してくれるのを待った。
「半年くらい前にさ、赤い人の話をしてくれたよね? 結子さん、それの詳しい話知ってる?」
「赤い人? ああ、ぬいぐるみがどうこうってやつか。まだそんな噂が流れてんのか?」
龍平のドリンクを、あたかも自分の物のように飲む武司さんに迷いはない。
「噂じゃないんだけど……赤い人に殺されたらどうなるとか、何か知らないかな?」
変な事を聞いているのは分かってる。
でも、私達が知らない怪談を知っていた結子さんなら、少しくらい知ってるんじゃないかと私は思った。