「何であんたはそこまで……もう良いじゃない。良くやったよ」


「だにがだよ……こんだけやられて……だにを良くやったって……」


フラフラと立ち上がって、私がちょんと突いただけでも倒れそうなのに……龍平は、武司さんをにらんで拳を握りしめた。


「俺も聞いてみたいもんだぜ。テメェはどうして立ち上がる? それほど先に殺されてぇのかよ」


武司さんの声が、かすかに震えている。


昨日の夜の事を考えると、私達を殺そうとしているのは間違いないだろうけど……もしかして、龍平に恐怖を感じてるの?


確かに、外見は血まみれで、化け物のような姿だけど。


「あんたに手を抜かれて……勝ってもうれしくだんてでぇんだよ! 本気のあんたに勝たでぇとよ!」


だからさ、どうしてそんなに武司さんに勝ちたいのよ。


別に勝ち負けなんてどうでも良いじゃない。


龍平は強いし、武司さん相手に良くやったと思うよ。


「だったら昨日勝ったから良いだろうが! 思い残す事なんてねぇだろ。さっさと死ね!」