龍平の顔から流れ落ちる血が、今来たばかりの私にも、一方的な展開だと言う事を教えてくれた。


フーフーと肩で息をして、鼻から口から血を垂れ流していながらも、それでもまっすぐ武司さんを見て。


昨日みたいに何かを待っているのか、龍平はまだ動かない。


「昨日殺したはずのお前が、どうして生きているかはどうでも良いぜ。こうして、俺の手でもう一度ぶっ殺せるんだからよ!」


そう言い、素早く龍平に詰め寄って、その顔を打ち抜いた正拳突き。


そうと分かったのは、昔あゆみと一緒に、武司さんの応援で空手の大会を見に行った事があるから。


あの時よりもずっと速くて、鋭い突きだけど……印象に残っていたから分かった。


でも、その攻撃を受けてもまだ、龍平は倒れない。


大きく後方によろめいて、倒れそうになってはいるものの、再び顔を武司さんに向けて構える。


ボタボタと鼻から流れる血の量が、さっきよりも多くて、もうダメだと思える状況なのに。


それでも、龍平はどうしてこんなになっても戦ってるんだろう。