カラダ探しが終わったら、ヤらせてあげるって約束も守れなくなった今、龍平が頑張る理由が分からないのだ。
何度も美雪に止められたけど、私はそれを振り切ってあゆみの家に向かうべく校門を出た。
美雪達まで危険な目に遭う必要はないから、私だけで。
ひとりで歩いていると、この世界が本当に武司さんの意識の中かと疑問に感じる。
ヒビ割れを除けば、青い空も風も、草花も何もかもが本物なんだけどなぁ。
「そりゃそうか。この世界しか知らないんだから、全部本物だよね」
すれ違う人達も、朝に美紗を見ていたような奇妙な行動は取らない。
私には興味がないと言わんばかりに、誰も注目しないのだ。
まあ、これが普通なんだけどね。
朝の光景が異常なんだよ。
そんな事を考えながら、あゆみの家に向かって歩く。
龍平は……どうなったかな。
早く行って、それを確認したいという気持ちはあるけど、できる事なら私が到着する頃には終わっていてほしいな。
あゆみの家のドアを開けたら、「よう、あゆみを助けたぜ」とか言ってさ。
武司さんが仕事に出ていて、家にいないというのが一番良いけど。