「そうじゃないって! 死ぬのが怖くないの!? 死ぬのに、どうして頑張れるのよ!?」
私が言ったその言葉に、美雪は微笑んで答えた。
「留美子に生きていてほしいもん」
どうして私なんだろう。
元の世界で生きているのは、私と健司だから?
ただそれだけの理由で、自分が死ぬなんて、バカバカしいと思わないの?
「何それ……別に私じゃなくても、元の世界で生きてるなら誰でも良いじゃん」
美雪にそう言ってもらえたのはうれしいけど、それは私に向けられた言葉じゃなくて、「生きている誰か」に向けられたような気がして。
「そんな事ないよ。留美子はさ、自分には何のメリットもないのに人の世話を焼いて、自分の事なんて後回しだったでしょ? 自分が一番きれいだとか可愛いとか言ってるのに、本当は友達想いでさ」
いや、そこまで言われると……なんか照れ臭いし、背中がムズ痒くなるなあ。
自分では自分勝手で気ままな野良猫みたいだなあって思ってたのに。
そんな風に映ってたんだ?
「フフッ、そうね。柊さんは友達想いという点には賛成よ」
美紗まで。
ふたりにほめられるなんて、私の人生ピークに達した?