「あいた! いたたたたっ! 誰だコラァッ! 俺にこんな事をしてただで済むと……」
頭をつかんでいる手を振りほどき、立ち上がった龍平はそこまで言って絶句した。
「ただで済まねぇなら、てめぇは何を俺にくれるんだ? あぁ?」
そこに立っていたのは……あゆみのお兄さんの武司さんと、その彼女の結子さんだった。
輝く程の金髪に、鋭い目付き、ピアスの数も学生だった頃よりかなり増えている。
相変わらずイカついのは変わってないのね。
「あは、留美子ちゃん久し振りぃ。元気だったぁ?」
龍平を隣のテーブルに追いやり、あゆみの隣には武司さん、私の隣に結子さんが座り、龍平が頼んだトリプルチーズバーガーを口に運ぶ武司さん。
「おう、結子。龍平の野郎がおごってくれるってよ。食え」
哀れ龍平……。
お金を使い果たしたのか、注文もせずに今にも泣きそうな顔で私を見ている。
「えへへ。結子さんが何か知ってるかと思って、私がメールで呼んでおいたんだ」
大好きなお兄ちゃんが隣にいて、顔がゆるみっぱなしのあゆみ。