その言葉に、不思議そうに首を傾げたのは美雪。


「昨日って……夜の学校で? 私は見なかったな。小野山さんも見てないよね?」


「見ていたら、その場で言っているわ」


あんな目立つ場所にいたのに気付かないはずがないから……私にしか見えなかったのかな?


皆に見えなくて、私が見えるという事は……カラダを全部そろえたからとしか思えないな。


「赤い人にそっくりという事は、美紀と美子ね。ここはふたりの遊び場でもあったから、それが見えたという事かしら」


美紗にも分からない事があるんだな。


赤い人のカラダがどこにあるのかも分かってないみたいだし。


「ふーん。じゃあ特に意味なんてないんだね。もしかすると他の場所でも、そういうの見ちゃうかもね」


ぼんやりとヒビ割れた空を見上げて、美紗に返事をする。


この空も、私が見た記憶みたいにガラガラと崩れてしまうのかな。


それがこの世界の終わりなのかな。


いつも、私は難しい事は考えないようにして来たけど、今回ばかりはそういうわけにはいかなくて。


龍平も美雪も美紗も、どうして自分がいなくなると分かってて、こんなに頑張れるんだろう。