「あら、聞いてなかったの? 私は止めたわよ。それに、池崎君の言う通り、何かあっても夜になれば生き返るわ」


そりゃそうだけど……でも、死ぬと分かっていて行かせるのは良い気がしなかった。


「それで小野山さん、赤い人のカラダの一部がどこにあるか、見当は付いてるの?」


「あなた達と同じで、しらみ潰しに調べてはいるんだけど。手詰まりかしらね」


ふたりが話をしていても、私は考え事で頭がいっぱい。


屋上から、生徒玄関を飛び出した龍平を見て、それからずっと考えてる。


美紗も美紗だよ。


殺されると分かっているなら、もっと本気で止めても良かったのにさ。


「そういえば、また夢を見たんだ。夢の中で、赤い人は私に何かを伝えようとしてたみたいでね」


記憶の断片の話?


ああ、そういえば私も見たけど、特に役に立ちそうな感じではなかったな。


私と明日香さんと高広さんが雑談してるだけだったし。


「ねぇ、ふたりともさぁ。昨日、生産棟の中庭に赤い人にそっくりな女の子がふたりいたんだけど、見なかった?」


柵にもたれてかがんでいた私は、ふたりを見上げながら尋ねた。