美紗に言われて、龍平は少しムッとした様子で。
私には、その表情の意味は分からなかった。
しばらく皆黙っていて、その間に朝一番のチャイムが鳴った。
ホームルームが始まったけど、私達は教室に戻らずに屋上にいる。
なぜか不機嫌になった龍平を前に、チャイムが鳴り終わるまで、ただ立っているだけ。
「もしかして、あゆみが来てないのは武司さんのせいなの?」
チャイムの音が消えて、最初に口を開いたのは美雪。
「そう考えて良いわね。でも、殺されてるという心配はないと思うわ。監禁されてる……ってところかしら」
「監禁って……小野山さんはそれで良いの?」
美雪も、自分ではどうしようもないと分かっているのだろう。
武司さんが相手だと、何とかできそうなのは高広さんくらいだけど。
昨日帰ったからなあ。
まさか、昨日の今日で戻って来てくれなんて言えないし。
あゆみには悪いけど、私達には何もできない。
ハァッと溜め息を吐いて、どうする事もできない状況に、頭を抱えていると……。