東棟だけで5つも隠されてるのかは不安だよね。
もうすでに、東棟には私と美雪のカラダがあったのだから。
「そんなに簡単だと良いんだけどね。それよりさ、どうして皆、小野山さんを見ていたの? 気持ち悪くて、鳥肌立っちゃったよ」
そうそう、カラダも大事だけど、その話もかなり重要なんだよね。
「この世界の主に気付かれたわ。見知った顔のあなた達には、それほど注目していないようだけど……私をかなり警戒しているようね」
「それがさ、ここって武司さんの意識の中って言うんだよ? 武司さんが望んだ世界だって!」
美紗と私の言葉に、驚いたような表情を浮かべる美雪と龍平。
そりゃ驚くよね。
こんな非現実的な話を聞かされてさ。
と、言っても……ヒビ割れた世界なんて、一番非現実的だけど。
「いやいや、そんなはずねぇって。じゃあどうして俺が武司さんに勝てたんだよ。おかしくねぇか?」
美紗が言ってるんだから、間違いはないんだろうけど……そう言われると自信がなくなってくる。
武司さんの意識の中なら、龍平のひとりやふたり、簡単にぶっ飛ばしてしまいそうなもんだけど。
「袴田君がどう思って、池崎君に負けたのかは分からないわ。だけど間違いなくここは彼が作った世界よ」