龍平に場所を教えてもらっていても、そこにたどり着けなくて回収できなかったんだ。
「お前ら! やっぱり俺を犠牲にするつもりだろ! 昨日も俺を見捨てたし、言い逃れはできねぇぞ!!」
そう言って顔を上げた健司は、あせりと恐怖に満ちた表情で。
この世界のヒビ割れと、美紗にいっせいに視線を向ける人達。
そして、武司さんに殺されるような世界を続けたいなんて、思うはずがないじゃない。
「あんたが協力しないからでしょうが!! 見つけたカラダ、どこにあるか洗いざらい全部吐いたら、私達が見つけたカラダを教えてあげるし、手伝ってもやるっての! でもね、今のあんたは協力する気ないじゃん!」
「俺が教えても、お前らは教えるつもりなんてないんだろ! だから、お前らが先に言え! 俺は死ぬなんてごめんだ!」
いくら言い合っても、健司は譲ろうとしない。
私達にそんなつもりはないのに、自分だけが犠牲になると思い込んでいるのだ。
そんな中、声を上げたのは龍平。
いや、声よりも手が先だった。
柵にもたれていた龍平が健司に歩み寄り、グッと握りしめた拳を頭頂部に振り下ろして……。