生徒達の視線の中、教室に入ると、クラスメイト達がいっせいに美紗を見た。
うへぇ……気持ち悪い。
何も全員同じタイミングで見なくても良いのに。
すでに教室にいた、美雪と龍平、健司もその異様な光景に気付いたようで、慌ててこちらを向く。
あんた達まで……。
何か話をしようとしても、こんな場所ではとてもじゃないけど話せない。
「留美子、何なのこれ? さっきまで普通だったのに」
「あー、その話なんだけど、誰にも見られない場所でしようか」
そんな場所があるのかは分からないけど。
私は龍平と健司に手招きをして、すぐに教室から出た。
学校の中をうろうろして、どこに行っても誰かの目がある事に気付き、最終的にたどり着いた場所は……西棟の屋上。
あまり来る事もないのに、いつも来ていたような錯覚に襲われた。
「ここなら誰もいないな。それより、さっきのは何だったんだよ。気持ち悪いったらないぜ」
屋上の柵にもたれかかり、空を見上げて龍平が呟く。