人に見られ続けているなんて経験した事ないし。


とりあえず普通に歩いてれば良いのかな?


「皆も同じかな。こんなに見られてるなんて、芸能人にでもなったみたいだよ」


「そんなに良いモノじゃないわね。それに、他の皆は大丈夫よ」


なになに? もしかして私達だけ見られてるって事?


そうだとしたら、どうして私達だけ。


「不公平じゃん。美雪とか龍平は見られてないっての?」


「正確には……柊さん、あなたは見られていないのよ。見られているのは私よ」









私よ……じゃないっての!









だったら、美紗と一緒にいなければ見られないって事じゃん!


武司さんも襲って来そうにないし、少し離れて歩こうかな。


確かに美紗の言った通り、道行く人達は私を見てるわけではなくて。


少し前を歩く美紗に、その視線は集中していた。


学校に着いてもそれは変わらず、校門でも生徒玄関でも、生徒や先生達の視線は美紗だけに向けられる。


「美紗、あんたよく平気でいられるね。私は無理だわ……」


「私はひとりだけ制服が違うから、いつも見られているわよ。平気じゃないけど、気にしないようにするのが一番ね」


簡単に言ってくれちゃって。


ヒビ割れた世界ってだけでも違和感があるのに、こんなのただの悪夢だよ。