そう言って、道に出た美紗。
道端にいる人達にも?
武司さんに見つかったらダメなんでしょ?
どうしてそんな事を言うのかが分からなかったけど、その言葉の意味はすぐに理解できた。
美紗と一緒に歩く通学路。
たまに会う近所のおばちゃんが、家の前をホウキで掃いていて。
「留美ちゃんおはよう。今日は友達と一緒なの?」
朝に会った時にいつも言ってくるあいさつに、ペコリと頭を下げた。
何に気を付ければ……って、おばちゃんこっち見すぎ!
私達が通り過ぎてもまだ、こちらを見ている。
いや、もう見るとか言うより観察してるくらいにガン見されて。
そしてそれは、おばちゃんだけではないという事に気付いた。
道路を走る車に自転車、通行人だけじゃなく、運転手までが私達をジッと見ていたのだから。
何これキモい!
注目される事は嫌いじゃないけど、ここまで見られると不気味としか言いようがない。
「ね、ねぇ……これって」
「あまり変な行動をしないで。袴田君が気付いたんだもの、住人も警戒しているのよ」
そんな事を言われても……どういう行動なら良いのか分からないからなあ。