私が言った言葉に、ふたりは黙ってしまった。
しばらく亀裂だらけの世界を歩いて学校に向かう。
小学校の前を歩いていた時に、明日香さんが呟いた言葉を私は聞き逃さなかった。
「……中庭か。なんだったんだろ、あれ」
「ん? 明日香、何か言った?」
「え? あ、何でもないよ。カラダ探しの話だから、もう終わった事だし」
私が尋ねると、明日香さんは慌てて手を振って見せた。
中庭?
あ、もしかして明日香さんも、昨日私が見たあのふたりの赤い人的な女の子を見たとか?
だとしたら、やっぱりこの世界と元の世界はつながりがあるって事だよね。
明日香さんもなんだったんだろって言ってるくらいだから、私に分かるわけないよね。
「それにしても武司の野郎。ずっと学校を休んでると思ったのによ。カラダ探しをさせられてたとはな」
「あゆみちゃんがいなくて、ショックだったんだよ。あ、でもね、カラダ探しが終わる頃には元気に……」
明日香さんが、武司さんの事を話している途中で、眠りから覚めるような感覚に襲われて。
まだ話を聞いていたいのに、私は誰かに揺り起こされるように六日目の朝を迎えた。