もう殺されてしまう。
脳裏をよぎったのは諦めの言葉。
それでも逃げないわけにはいかないし、どうせ殺されるなら、少しでも時間を稼がないと。
それが、カラダを全部そろえた私の役割だと思ったから。
二階にたどり着いて、東棟の方に向かって走った私は、その時点で大きな選択ミスをした事に気付いた。
大職員室に行く事を考えてたから、思わずこっちに走ってしまったけど……美雪達がいる可能性があるじゃない!
「キャハハハハハハーッ!」
壁や天井を移動したのか、赤い人の声が、早くも廊下に飛び出した事を私に教えてくれる。
速過ぎるって!
これで廊下を落下なんてされたら……なんて考えている間にも、背後からグチャッとやられてしまう!
長い廊下は、私にとっては不利だ。
「あ、赤い人が来るよ! 皆逃げて!!」
時間を稼ぐとか、そんな事を言ってる余裕なんてなかった!
東棟に入り、大職員の前の廊下を走った私は、チラリとその入り口に視線を向けた。
ドアの隙間から、誰かがこちらを見ているような……そんな感じがして、私は叫んだ。
「体育館の教官室に行って!」
「キャハハハハハハッ! 待てっ!」