それより、どこからこの声が聞こえているのか。
耳を澄ましてみると、西棟の方から聞こえている。
もしかすると、健司が赤い人に捕まる事なく、体育館から逃げて……そのまま赤い人も連れて校舎を動き回ってるってわけ!?
だとしたら、早くここから離れないと。
あせりを感じて階段を駆け下り、目指すはあの部屋。
龍平と一緒に入って、布がかぶせてあったという教室だ。
長い廊下を走り、たどり着いたその部屋のドアは開いている。
美雪が確実にここに来たという事は、それを見ただけで分かったけど、まだいるのかな?
「美雪? いる?」
教室の中に入って声をかけてみるけど……返事はない。
もしかすると、あゆみとふたりで行動していて、この部屋にあるカラダは回収したのかな?
「あーあ、いないのか。……それにしても、なんだってこの部屋はこんなにほこりっぽいんだか」
布に積もったほこりを見て、掃除くらいしろよと言いたくなる。
私も掃除は良くサボるけどさ、この教室はどれだけ掃除されてないのよ。
こんなところにいたら、鼻と肺がおかしくなりそうだわ。
美雪がここにいないとしたら……中庭を挟んで向こう側の棟にいるかもしれない。