赤い人の笑い声が聞こえた。


体育館全体をビリビリと震わすような、凶悪な笑い声。


耳をふさがないと鼓膜が破れてしまいそうで、ふさいでも頭の中をグチャグチャにかき回しているよう。


何!? 私達がここにいる事が気付かれたの!?










ペタペタペタペタ!













笑い声が止まり、耳から手を離すと、赤い人の足音が一直線にこちらに向かって来ている!


間違いない……私達は赤い人に気付かれたんだ!


どうしよう! すぐに逃げた方が良いのかな!?


赤い人がどこまで来ているのか確認したい。


確認したいけど……見てしまったら、振り返る事ができなくなってしまう。


ふたりと何のコンタクトも取れないまま、決断の時は迫っていた。


「キャハハッ! アハハッ!」


小さな笑い声と共に、もうかなり近い場所まで迫る赤い人。


もう時間がない!


今すぐどうするか決めないと、何もできないままここで殺されてしまう!


でも……逃げるとしたらどこに!?


観覧席の方に逃げても、赤い人は一瞬で二階に飛び上がって来るだろうし。