あー……知らないわ。
私、後夜祭とか興味ないからさ。
「お前、あれ大不評だったぞ」
どうやらそれを見たであろう健司にまで、そんな事を言われている。
まあ、どうでも良いけどね。
「行くなら行こうよ。さっさと調べて、校舎の方に戻らないと」
しゅんと落ち込む龍平を先頭に、観覧席を歩く。
そういえば、ここもあまり歩いた事がないよね。
窓から見える暗い西棟を眺めながら歩いていた時、何か変な感覚に陥った。
あれ? 何だろう……この感覚。
西棟が、いつもと違う感じがするけど……良く分からない。
「おい、留美子。何してんだ?」
龍平に呼ばれて、不思議に感じながらも、私は例の部屋へと走った。
ステージの校舎側の二階。
放送設備が整っているこの部屋の入り口には「体育館放送室」の文字。
でも、ほとんど使われていないようで……ほこりが積もって、機材の文字が見えにくい。
「うへぇ……何このほこりっぽい部屋。体育館に放送室って必要なの?」