「お前なあ、見つけたいのか見つけたくないのかどっちだよ」


見つけたい気持ちに嘘はないけどさ、下手に健司のカラダを見つけてしまうと、取り引きに応じてくれなくなりそうで。


龍平が見つけた工業棟一階のカラダは、健司の家で教えてたみたいだし、健司のだと分かる私達の取引材料はひとつだけ。


それでいったい、何個のカラダと交換できるかが不明だから。


「あんたのカラダなら良いんだけどね」


先を行く健司を照らしながら、階段を上って二階。


手前から順番に倉庫を調べたけど、それらしい物は何もなくて。


一番北側の倉庫まで調べ終わり、結局カラダを見つける事はできなかった。


「何よ……これだけ探して、カラダひとつだけだっての?テンション下がるわぁ」


「待てよ、まだひとつ部屋が残ってるだろ?」


そう言って、龍平が指差したのはステージの方。


正確にはステージではなくて、観覧席のずっと向こうを示している。


「あんな所に部屋なんかあった? あんたの思い違いじゃないの?」


2年とちょっとこの学校に通ってるけど、そんな所に部屋があるなんて知らない。


「去年の学祭で俺がDJやってただろ! 後夜祭でよ! あの機材はそこから下ろしたんだぜ!?」