「跳び箱の中には……ねぇな。他の隙間にもそれらしい物はねぇし」
乱雑に物が押し込まれているとは言え、3人で調べるとすぐに終わる。
倉庫を出て、フウッと溜め息。
一番奥にある教官室という、体育の先生達の教室に入り、室内に携帯電話を向けた時。
『赤い人が、東棟二階に現れました。皆さん気を付けて下さい』
と、校内放送が流れた。
「東棟二階か、近いっちゃ近いよな」
その方角を見て、龍平が呟く。
近いも近くないも、階段を下りたらすぐに体育館。
ドアを閉めているから何とかなるかもしれないけど、下手すれば追いつめられる可能性だってあるよね。
そうならないうちに、ここを調べてしまわないと。
「おい、お前ら。あれはカラダじゃないのか?」
校内放送に気を取られた私達に、ソファを指差して健司がそう尋ねた。
そこには私の腰と同じように、ソファに腰かけているような誰かの腰がそこにあったのだ。
スカートをはいているそれは、確実に美雪かあゆみの腰で、こいつらに任せたら何をされるか分かったもんじゃない。
「よし、俺が調べてやるよ。どっちのカラダかは見れば分かるからな!」
少し興奮気味に言った龍平が、それに近付こうとする。