「くそっ! やっぱりカラダを全部集めないとダメなのか」


頭部を回収するために私達はカラダを集めていたのに、先にこれを……という都合の良い事は無理ってわけだ。


まあ、全部のカラダを集めないと、頭部を回収したところでそれも無意味なんだけど。


「もう良いよね? じゃあ私の最後のカラダを……」


いつまでも健司に付き合ってこんな事をしていたら、赤い人が来てしまうかもしれない。


私が、私の頭部に手を伸ばしてそれに触れると、今までにないような激しい光が指とカラダの間で発生したのだ。


自分のカラダなのに……ただ、元に戻っただけなのに……。


美紗が言う、記憶の断片というやつが少し思い出されて、それが私の中に入って来るのが分かった。


妙な感覚だった。


私は私なのに、まるで別の人が入って来たかのような。


だけど、不思議と嫌な感じはしない。


スーッと光が消え、カラダが戻ったという実感に包まれて、私はハッと我に返った。


「留美子、どうだ? 何ともないか?」


「んー……まあ、これと言って特に。変な気分ではあるけどね」