龍平みたいに私達に協力してくれたら、こんな事を考えなくて済んだのにさ。
ハァッと溜め息を吐いて、教室の中で時間を潰してしばらく経った時だった。
『赤い人が、生産棟三階に現れました。皆さん気を付けてください』
校内放送が流れて、私達は教室の入り口に歩を進めた。
「あ、ちょっと待て。体育館に行く前によ、留美子の頭を回収しねぇか? 赤い人に追いかけられてて、できなかったしよ」
ここからなら、どうせ生徒玄関の前を通るだろうし、私にとっては早目に回収できるからそれで良い。
「行くなら早く行こうよ。またさっきみたいに赤い人が追っかけてきたら嫌だし」
廊下に出た私達は、ドタバタと音を立てないように、ゆっくりと階段を下りた。
我先にと走り出せば最後。
ののしり合って、大きな声と物音で赤い人に気付かれるのが目に見えているから。
そっと移動して、一階の廊下。
生徒玄関の方に歩いていると、またもや龍平が口を開いた。



