私がガン見すると、小野山美紗は少し恥ずかしそうに自分の席に戻る。


「照れちゃって。案外可愛いとこあるじゃない」


冷徹な無感情人間なんて印象があったけど、本当はそうではないかもしれないね。


「あのさ、聞いてる? 留美子。小野山さんが言ってた事は本当みたいだよ。龍平が赤い人を見た後に振り返ったんだって」


「おう、あれはマジでビビったぜ。あゆみと留美子の声がした西棟に行ったら、ふたりとも血まみれじゃねぇか。その中に立ってたのが赤い人だな。うん」


美雪に続いて、腕組みをしながら何かを思い出すように語り始める龍平。


「で、振り返っちゃったわけね。振り返るとどうなるの? 教えてよ」


あゆみは、ドアに叩き付けられて死んだからな……しかも私がいた場所で。


「……すまん。思い出したら吐きそうになった。吐いても良いなら話すけど」


「ちょっと、やめてよね! あんたマジで最悪!」


龍平の様子を見ていたら、絶対に振り返ってはいけないという事が分かった。


「あれが本当だと仮定して、私達がやる事は自分達のカラダを探す事だったわけよね。今日もまた、させられるのかな?」