どうすれば良いのか分からないのは皆同じなのか、龍平だけじゃなく、健司の姿もそこにあったのだ。
しばらくそこにいても、赤い人は追いかけて来なくて。
逃げ切る事ができたのかと少し気を抜いていた時、それは聞こえた。
あ~かい ふ~くをくださいな~
久し振りに聞く、赤い人の歌だ。
その声は小さく、遠くから聞こえている。
し~ろい ふ~くもあかくする~
だけど、話なんかしたら、すぐにこっちに向かって走って来るんだろうな。
休んでいるのに、そうなってほしくはない。
私は人差し指を立てて口に当てると、ふたりにそれを見せた。
まっかにまっかにそめあげて~
そして、南側にある教室を指差して、ゆっくりと音を立てないように立ち上がり、歩き始めた。
廊下で話してると赤い人に気付かれるかもしれないから、教室の中で話そう。
協力する気がない健司に文句のひとつも言いたいし、うまくカラダの場所を聞き出す事ができれば……なんて考えて。



