それを聞いて、驚いた表情を浮かべた健司。
いやいや、一番驚いたのは私だって!
何よ! 私に話を持ちかけておいて、やっぱり私を犠牲にしようとしてたわけ!?
話に乗ってたら、私だけカラダの場所を教えてもらえなかったって事!?
そう考えると、だんだん腹が立ってきた。
「健司! あんたねぇ……」
そこまで言った時、私を制するように首を横に振った龍平。
「健司、もうお前の味方はいねぇよ。皆、カラダ探しを成功させて、呪いを解こうとしてんだよ」
「ふ、ふざけんな! お前、バカじゃないのか!? 元の世界に戻して、いなくなるやつらが全員それを望んでるのかよ! だったら失敗させて、この世界を続けるべきだろ!」
健司の主張は、カラダ探しを始めた頃からまったく変わってない。
誰の意見も聞こうとせずに、自分で答えを出して。
美紗がいなかったら、もしかしたら私も健司と同じような考えでいたのかなと思うと、他人事じゃない。
「俺は……嫌なんだよ。俺が好きな人の、誰かがいない世界なんてよ。留美子も美紗ちゃんもいない世界なんて考えらんねぇ」
龍平が言ったその言葉で、私は泣きそうになった。



