「どうせあんたの事だから、スカートの中を見たんでしょ? まあ良いけどね」
とは言っても、今見られたら殴ってやるけど。
溜め息を吐きながら教室を出た私は……廊下に誰かの人影がある事に気付いた。
えっ……誰?
赤い人じゃない事は、その身長から分かる。
だけど、美雪達は工業棟に向かったはずだし、可能性があるのは……。
「け、健司……」
龍平が携帯電話の明かりを人影に向けて、そう呟いた。
「どういう事だ……どうして留美子とここにいる!! 理由を言えよ!!」
鬼気迫る表情で私達に歩み寄り、龍平を怒鳴り付ける。
私達の後を尾行していたのか……いや、それなら「どうして留美子と」なんて言わないと思う。
健司はたぶん、自分が見つけたカラダがまだあるかどうか、確認してたんだ。
もう日数が少ないのに、私達の誰かを犠牲にするために、できもしないカラダの管理を続けようと。
「残念だったな、健司。これで留美子を犠牲にしようって作戦は白紙だ。留美子の最後のカラダを回収したからな」
私をかばうように前に出て、龍平が健司を指差して言い放った。



