怖いのか、悲しいのか分からない。
私は、倒れた龍平の身体を揺すりながら、必死に声をかけていた。
でも……龍平は全然動かなくて。
さらに武司さんは、私の髪をつかんで無理矢理に身体を起こすと、狂気に満ちた目を向けて……その刃を、私にも突き刺したのだ。
金属の冷たい感覚が、胸にあって……激しい痛みと共に、ひとつの思いが頭の中に浮かんだ。
……あ、私、死ぬんだ。
あゆみが何かを叫んでいたけど、それも聞こえなくなって。
私は、何が何だか分からないまま、武司さんに殺された。
徐々に意識が覚醒して行く。
この、毎日味わっている感覚は……カラダ探しが始まった事を教えてくれていた。
目を開けるとそこは夜の学校で、慌てて立ち上がった私は辺りを見回した。
「柊さん、いったい何があったの? 遅いと思って探しに行ってみれば、あなたと池崎君が死んでるんだもの」
背後から声をかけられて振り返ると、花壇の縁に腰かけている美紗の姿。
「何があったじゃないって! 武司さんが包丁を持って現れてさ! いきなりブスッ!てさ!」
もしかして、龍平が武司さんに勝っちゃったから仕返しされたとか!?



