健司に協力するように、説得してほしいんだけど……追いつめられてるって緊張感がまったくないよね。
空が黒くなっていても分かる奇妙なヒビを見ながら歩いて、到着したコンビニ。
適当なお弁当を買って店を出た時、前方から歩いて来た人影を見て、私は足を止めた。
何か……嫌な予感がしたから。
その人影が、ゆっくりとこちらに向かって歩いて来る。
いつもなら、こんな人がいたとしても気にも留めないんだけど……今回ばかりはそういうわけにも行かなかった。
「あ、お兄ちゃん!」
うれしそうなあゆみの声が、コンビニの照明で浮かび上がった武司さんにかけられる。
でも、何か様子がおかしい。
……まあ、龍平がいるからなんだろうけどさ。
「……さねぇ」
ボソッと何かを呟いた武司さん。
何て言ったの?
「あ、武司さん……私達、今から晩ご飯なんで」
龍平に用があるなら、私がいても仕方がない。
説得ならあゆみがしてくれるだろうし、またバトルになったら、それこそ私に出番はないから。



