武司さんとのバトルで疲れたのか、部屋に入ると、糸の切れた操り人形のようにベッドに倒れ込んだ龍平。
血まみれの顔で、白い布団を赤く汚す。
「それで、どういう流れでふたりが戦う事になったのかしら? まさか袴田君が気晴らしに殴っていただけって事はないでしょ?」
「お兄ちゃんはそんな乱暴じゃありません!」
いや、あゆみ……乱暴なんて言葉では言い表せないくらいだよ、武司さんは。
「それがさ、明日香さんと高広さんが帰ったと思ったら、急にあゆみを危険な目に遭わせてるって……あゆみ! あんたいったい何を言ったのよ!」
サンドイッチのフィルムをはがしながら、私はあゆみに尋ねた。
「だから! さっきも言ったけど、お兄ちゃんの勘違いなんだって! 結子さんと話していたのを、中途半端に聞いてたとか……」
武司さんも頭が良いとは言えないからなあ。
興味がない話を無視して、分かるところだけつなげたら、あゆみが危険な目に遭ってるって事になったのかな?



