三限目の休み時間になった時、相変わらず小野山美紗の周りには人だかりができていて話ができそうにない。
「そうだ、小野山……どこかで聞いた姓だと思ったんだよな」
美雪の席に集まって小野山美紗の様子をうかがっていた私達は、健司の言葉に耳を傾けた。
「どこで聞いたの? 小野山なんて、私は聞いた事ないけど」
「俺の家の近くにさ、小野山って廃屋があるんだよ。もうボロボロで誰も住んでないと思うけど」
美雪が聞いた事がないのは無理ないかな。
美雪と健司の家は、この学校からお互いに正反対の位置にあるし。
「てか、その家と何か関係あんの?」
「え? ああ。結局は小野山に話を聞かないと分からないんだけどさ」
それができないから困ってるのにさ。
とにかく今は、小野山美紗と話をするチャンスをうかがうしかなかった。
四限目が終わって昼休み、小野山美紗が教室から出た時を見計らって、私達はその後を追った。
あゆみと美雪と私。
朝から一度もトイレに行っていないから、そろそろ行くんじゃないかと思って。
廊下に出て南側、西棟のトイレの方に向かったのを確認して、私達もそこへと向かう。