でも……。
「あんた……それは違うだろ。あんたと高広さんは……俺にそんな事だけはするなって……教えてくれた」
フラフラになりながらも、龍平がその場に立ち上がり、軽く握った両手を上げて、武司さんに向かって構えたのだ。
龍平……そんなボロボロなのに、武司さんに勝てるわけないじゃん!
今度こそ殺されちゃうよ!?
「テメェ……誰に向かってそんな事言ってんだ? 二度としゃべれねぇようにしてやるぞコラァッ!」
「うす! 胸借ります!」
怒りに任せてバットを投げ捨てた武司さん。
龍平と対峙するように立って構えた。
いきなり飛びかかるかと思ったけど……あんな言い方をしていても武司さんは冷静だ。
どっちが先に手を出すのか……先に動くのか。
ピリピリと張り詰めた空気が、空間のヒビをさらに大きくしそうで。
私が息を飲んだ時、その空気は崩れた。
フッと、急に眠気が覚めたような感覚に似ている。
武司さんの、一見スローにも見える動き。
龍平との距離を詰めたかと思ったら……突然繰り出されたハイキック。



