あー……やっぱり明日香さんは落ち着く。
「きゅ、急に何!? 留美子、苦しいって!」
「だって、帰って来たってのに会えなかったんだもん! 次までの分、補充しとかなきゃ」
「補充って、何の補充なの?」
細かい事は気にしない気にしない。
懐かしい匂いで、明日香さんのベッドで眠った時の事を、昨日の事のように思い出すよ。
そんな風に、大騒ぎで時間は過ぎて……とうとうお別れの時がやって来た。
「じゃあな、皆元気でな。留美子、あのおかしな子にもよろしく言っといてくれ」
「ん? ああ、美紗ね。分かったよ、言っとく」
私と高広さんがそう言った直後、視界に映る景色が、少し変化したような気がした。
でも、何が変わったかと言われたら、それは分からない。
皆口々にお別れの言葉を言って、高広さんと明日香さんは帰って行った。
後は美紗と合流して、食事だ。
……と、思っていたのに。
私達が今来た道を引き返そうとした時、武司さんが……目の前に立ちはだかったのだ。
冷たく、鋭い視線を龍平に向けながら、バットを突き付けていた。
「あ、あのー……武司さん?」
恐る恐る問いかけてみると、その殺意に満ちた目が私にも向けられる。



