椅子にもたれて、私が言った言葉に、美雪が「えっ!?」というような表情を見せた。


「もしもそうなったら申し訳ないわ。言いづらいけど……まだ見当も付いていないの」


あの赤い人のカラダの一部なんて探したくもないけど、美紗はそれを探してるんだよね。


「相島さんは、柊さんみたいに何か夢は見なかったかしら? 夢じゃなくても、知らない記憶はないかしら?」


元の世界の記憶の断片ってやつ?


この世界の事ならともかく、そんな記憶が赤い人のカラダを探すのに役に立つのかな。


私の記憶は、カラダを探すのに何の役にも立たないものだったけど。


「夢は……見たけど。ありえないよ。やっぱりただの夢」


なんだか恥ずかしそうにうつむいた美雪。


そんな表情をされると……どんな夢を見たのかが気になる。


「何で照れてんのよ? あ、言うのも恥ずかしいエッチな夢なんでしょ?」


私は、ニヤニヤしながら美雪の腕をツンツンとつついた。


こんな美雪をいじれる事なんてめったにないから、ここぞとばかりに攻める。


「ち、違うって! ただね、屋上で……その……抱きしめられてさ」


「抱きしめられたって。翔太さんに抱きしめられても、今さら驚かないっての」