「ごめん、そんなのとっくに気付いてると思ってた。だから、健司がそんな事をしてる意味が分からなくて……」












……え? あ、そうなの?


でも、そうならそうと早く言ってくれれば……って、その時には私と美雪は喧嘩してたんだった!


「留美子は元の世界に戻そうとしてるみたいだったから、私も気付いてたけど言わなかったんだぁ」


あ、あゆみまで!


なになに!? 知らなかったのは私だけだっての!?


「美雪が言ってるなら本当なんだろうな。留美子の話はどうも嘘くさくてよ……」


ああ、龍平も気付いてなかったんだね。


てか……。


「一言多いんだって! このバカ!」


「バカバカ言うなっての!」


龍平も私も、お互いににらみ合っていた。


「留美子と龍平はともかく、健司が気付いてないのは不思議だよね」


私達のにらみ合いなんて気にも留めない様子で、美雪がブツブツと呟く。


この子、考え事がそのまま口に出るから、悪だくみなんてできないんだろうな。


「ああ、健司はずっと誰を犠牲にするか考えてたからな。他の事は何も考えてねぇと思うけど」


私はまだにらんでるのに、スッと視線を外し、美雪の隣に歩を進める龍平。